鯉は孵化後の約1週間は卵黄をお腹につけ、その栄養で育ちます。やがて卵黄の吸収がおわると、今度は主にプランクトンを餌として育ちます。さらにその後は様々な条件によって大きく違いますが、一例としては30~50日で2~3cm、4~5ヶ月で10~13cm、1年で25~30cm、2年で30~35cmに育ちます。
そこで、いったい鯉はどこまで大きくなるだろうかという点に興味が湧いてきます。各地に巨鯉伝説や噂話がのこっているものの、実際は草魚と鯉を間違えていたり、あるいは話が次第に誇張されて伝わったりしていることが多いようです。実際に写真やデータが残っているものはその中のほんの一部に過ぎません。
参考文献3)に以下の記述があります。
鯉の日本最大の記録は体長1.53メートル、胴回り1.2メートル、体重45キログラムがしられているが、中国大陸では2メートルに達するものもあるといわれる。
しかし、上記文献には写真は掲載されておらず、非常に残念です。
参考文献4)にはタイの水産試験場で飼育されている1m20cm、体重71キロの鯉のそばに、開高健さんが立っている写真が掲載されており、その鯉の大きさには圧倒されてしまいます。頭の大きさには、恐ろしささえ感じるほどの威圧感があります。本文を以下に引用して紹介します。
参考文献4)より
チャイナートの水産試験所の分所のプラチット君は、コンクリート槽に1メートル20センチ、体重71キロという、とてつもない野生のコイを飼っていたが、そのみごとな威容に私が興奮すると、以前には1メートル50センチ、体重105キロのがあがったことがあると、ものうげに説明する。聞いているうちに私はノボセ気味になり、せかせかと、どこ、どこでとれたんですとつっこむと、プラチット君はおっとり笑い、これはそこのチャオ・ピヤ河のダム下で漁師が網でとったのですといって、「そこらによくいるんです」とつぶやく。
一方、釣果としての国内記録は、2015年現在で121.5cmです。しかし130cmを超えるモンスターが釣り上げられる日がいつか必ずやってくると信じています。タックルの進歩、餌の進歩、そして河川湖沼の自然環境の改善に伴い、モンスターはきっと私達の射程距離にいることでしょう。
参考文献
1)「図解早わかり 野ゴイづり入門」 山田勲 西東社
2)「コイの釣り方」 芳賀故城 金園社
3)「釣りキチ三平の鯉&鮒フィッシング入門」 矢口高雄 講談社
4)「フィッシュ・オン」 開高健 新潮文庫