Record1500 / 外観
ABUの最初のリールはRecordと命名され、1500、1600、1700、1800 の4機種が作られました。第二次世界大戦の真っ只中の1941年のことです。その後、Recordは1952年のAmbassadeur 5000の発売まで、基本的なスペックを変えずに販売されていました。ここで紹介するリールは、その中のひとつRecord 1500です。販売されていた当時の情報は入手が困難ですが、Record 1500に関しては少なくとも以下の3種類の存在が確認されています。Record 1500、1500 MODELL A、1500 MODELL C(英語表記と違い、スウェーデン語でMODELLと表記)。
ABU Record 1500
右サイドプレート右サイドプレートに「RECORD No1500
A.B.URFABRIKEN ~ SVANGSTA」と刻印されています。参考までに、MODELL Aも同様に右サイドプレートに刻印されていますが、MODELL Cは左サイドプレートに変更になっています。
右サイドプレート
このリールは都内で購入しました。4機種のRecordがショーケースに入っていたのですが、その中でも最も初期モデルの姿に近いのがこれでした。箱や付属品がないことと傷が多いため、ヴィンテージリールとしての価値はあまり高くありません。
リールフットを見てみると、この時代はまだフットナンバーがありません。「MADE IN SWEDEN」と刻印されています。製造年の手がかりがほとんど無いのが残念です。尚、ABU公認ガイドブックである「アンバサダーと私 Simon Shimomura著」によると、最初のRecordリールは1939年説、1941年説、1942年説があるとのことです。1939年説は、ABU75周年大型ポスターに書かれており、1941年説はABU工場の資料、1942年説はABU工場の向かいにあるABU資料館の資料に記載されています。ここでは、ABU三代目社長レナートの回顧録に記載されてる1941年説を有力説として扱っています。
フットナンバーがまだない
したがって、写真のリールは1941年から1951年の間に製造され、かつサブモデルと考えられるMODELL A、MODELL Cよりも前ということになります。
左サイドプレートには、何も刻印されていません。ラインアラーム(クリッカー)は付いていますが、レベルワインダーのギヤはなく、右サイドプレートに実装されています。スプールシャフトを両側から挟みこむメカニカルブレーキ(スプールキャップ)が付いています。また、随所に先端を潰して固定するカシメが使われており、リールフットや写真の左サイドプレートにも見られます。
刻印のない左サイドプレート
最後にハンドルノブについて。ヴィンテージリールにおいて、あまり解説されることがないハンドルノブです。照明次第で色の印象が違って見えますが、写真のようなブラウン系の色です。室内照明光ではもっとキャラメルのような色に見えます。形状については、つまんでみるとかなり細く感じます。ダイレクトドライブのハンドルのため、なるべくイナーシャを抑えたいという意図があったのか、あるいはこうした形状が当時先行していたアメリカ製リールのトレンドだったのかもしれません。
ハンドルノブ
序論 |
---|
ヒストリー | 時計工場「ハルダ」|ABUの誕生|スウェーデン初のリール|Ambassadeur5000の誕生|大型リール登場|ABU年表 |
---|
メカニズム | パーツ数から見る7000シリーズ|7000ドライブシステム概説|ドラグ調整|ハンドル逆回転防止|スプールフリー|アンバサダーのギヤ|ブレーキの仕組み|クリック|レベルワインド|自動二段変速ギヤ |
---|
パテント |
---|
ラインナップ |
---|
Carpmaster |
---|
Record1500 |
---|
オーバーホール | オーバーホールとは|必要な道具|分解手順と注意点|潤滑剤の使い分け|レベルワインドの組立|左サイドの組立|スプールの組立|クラッチの組立|メインギヤの組立|右サイドの組立|ハンドルの組立|7000CL中古品 (2024年)|7500C3JSP中古品(2024年) |
---|
リペア |
---|