メカニズム / Ambassadeur7000ドライブシステム概説
Ambassadeur7000を例に、ドライブシステム全系のメカニズムについて説明します。
ドライブシステム模式図をご覧ください。ハンドルを回した動力がどのように伝達されるか示しています。ただし、主要部をわかりやすくするために、細かい構成は省略するとともに、動力伝達の順番に図中に1~8の番号を付記しています。
ハンドルは、メインギヤのシャフトに連結されています。実際にはシャフトとメインギヤとは、ドラグ調整用のスリップリングの摩擦力によって連結されていますが、ここでは省略しています。メインギヤはピニオンギヤとかみ合って、この二つのギヤの歯数の比を、リールのギヤ比と呼んでいます。ギヤの歯は斜めに角度がついていて、専門用語ではハス歯ギヤと呼ばれるものです。
ピニオンギヤはスプールシャフトに対して軸方向にはスライド可能で、回転方向にはクラッチピンに引っ掛かり、ラインを巻き取る方向(図中のスプール赤矢印の方向)にのみ動力を伝達し、逆方向の回転は伝達しない機構になっています。ピニオンギヤがスプールから離れる方向にスライドすると、クラッチピンからはずれ、ピニオンギヤが空回りし、スプールはフリーとなります。ピニオンギヤのクラッチ機構は、後の研究室にて解説します。
以上がハンドルからスプールまでの基本構造で、これから先の説明は、レベルワインドを駆動するためのメカニズムになります。
ハンドルとは反対側のスプールシャフトに、スプールピニオンと呼ばれるギヤが付いています。このギヤはコグホイールと呼ばれるギヤを介して、さらにウォームシャフトのギヤに連結されています。スプールの回転に対してウォームシャフトがゆっくり回るように、スプールピニオンとコグホイールの大きいギヤとの比によって減速されています。ちなみに、スプールピニオン、コグホイール、ウォームシャフトギヤは歯の形が最もポピュラーな平歯車とよばれるものを使用しています。
ウォームシャフトにはらせん状の溝があり、この溝に沿ってレベルワインドが往復スライドし、ラインを巻き取った時にスプール全体に均一に巻き取られるようになります。
次回からメカニズムの詳細について説明していきます。