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新鋭振出石鯛 / 第8回 実釣フィーリング

このコンテンツの最後に実釣フィーリングをお伝えします。そのために、超大型の釣果が出るのを待ちましたが、そんな時に限って小物が掛かってくるものです。2023年シーズンにやっとこの竿に良型が来てくれました。
 
対象はアオウオ152cmです。
 

まず、アオウオの特徴として、合わせ直後に激しく頭を振ります。魚体が大きい分だけその振幅は鯉に比べて圧倒的に大きいので、これでアオウオだと判断することが多いです。さて、このときの新鋭石鯛ですが、以前の回でお話しした通り、小笠原に比べ手元寄りからカーブを描きます。したがって、アオウオの首振りに対して十分なタメが効き、手元にガツガツと伝わるのではなく、一定のラインテンションを維持してくれます。そのため、フックが外れるリスクをかなり低減してくれる感覚があります。
 
ある程度手前まで寄せてくると、そこから幾度となくアオウオのツッコミが始まります。リールのドラグを限界の直前に調整し、両手で竿を持ってじっと堪えると、竿の弾性がツッコミを止めてくれます。単に柔らかいのではなく、しっかりとアオウオを制御してくれる強さを備えています。幾度となくツッコミと制御を繰り返すこの時間が、やり取りの中で圧倒的な比率を占めます。
 
この段階をクリヤして魚体全体が水面に見えるようになった時がタモ入れのチャンス。最も近くまで寄せてくるとき、新鋭石鯛の真価を感じます。元竿が強すぎると、寄せた時にラインテンションがかかり過ぎてフックが外れる恐れがあります。石鯛竿全般に言えることは、手前に寄せてタモ入れすることをあまり重視した調子ではありません。ところが新鋭石鯛はそこで弾く心配が少なく、安心してひとりでタモ入れをすることができました。
 
さて、フィーリングが良くない点もありましたのでお話しておきます。
竿が極限近くまでカーブを描く時に、ガイドが全般的に足が長いため、竿が横に捩られるような状態がありました。手元では感じませんでしたが、目でわかったので、問題が起こらないようにやりとりの最中で手元を少し回して戻しました。今回は単独釣行でやりとりの最中の写真はありませんが、もし撮影する際は、そうしたガイドの状態も見栄えが良くなるように気にした方が良いかもしれません。ガイド高さについては、従来の石鯛竿のような高さの方が安心かもしれません。
 

このコンテンツの最後に、新鋭石鯛のネーミングの由来についてロッドコムにお聞きしましたので、公開の承諾を頂いた上で要約して掲載いたします。
 

ロッドコムによる回答(2020年10月)
弊社はダイコーブランドの下請け工場として2004年から稼働しましたが、2014年にダイコーは釣具事業部の撤退を発表しました。
その後事業再興を決心し、ダイコーが強みにしていた石鯛竿を基本に販売を展開しようと考え、2015年9月にロッドコムブランドで新鋭石鯛並継タイプを発売しました。
ダイコーの少数の元社員が起業した会社、つまり少数精鋭で、「新しく鋭くクサビを打ち込む!」という気概で売り出す石鯛竿ということで「新鋭」というネーミングにしました。

 
石鯛竿に対する一際強い思いがこの竿に託されていることを知り、一段と愛着が湧いてくるご回答でした。
 
以上でこのコンテンツの連載を終了します。

(2023/5/14)
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