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短竿談義 / 第3談話室:拙者の石鯛400

この竿はゼニス製の石鯛竿ですが、同社のカタログに掲載されていないことから、釣り具店が仕様を出して作らせたカスタマイズ品だと思われます。ちなみに、ゼニスでは2008年現在、石鯛竿のカスタマイズを受け付けています。全長4mという短さと、石鯛竿としては超軟調なのがこの竿の特徴です。並継で替穂先付きでありながら驚きの低価格です。石鯛竿の4mは他に市販されているものがないため、こうしたカスタマイズ品に期待するしかない状況です。今後鯉用短竿のニーズが高まれば、量産品が発売されるかもしれません。
 

 
「拙者の石鯛」というネーミングは、なんともマイナーな響きがあって、いかにもカスタマイズ品の雰囲気があります。全体がブラック基調ですが、替穂先の先端部だけが白塗装になっていて、概ね好感が持てます。バットのラッピングテープ跡や、石突の固定がビス止めではなく接着構造であることなどは、低価格に抑えて機能を重視するための大胆な割り切りが感じられます。石突の長さは8cmあり、通常の物より3cmほど長くできていますが、もしかしたら舟竿と素材を兼用したのかもしれません。竿尻からリールまでの距離が長く感じられ、やや違和感を感じます。材質は不明ですが、たまに角が欠けるものがあることから、少なくとも石突に通常使われる材料ではないと思われます。
 

拙者の石鯛400

 

石突は長さ約8cmで通常より3cm長い

 
ガイドはSiCリングにステンクロームメッキフレームの構成です。石鯛竿用ガイドの中では最もコストをおさえたガイドですが、上級グレード品とはメッキが違うだけです。ガイドに関しては、バットの1段目のガイドが結構大きく、2段目のガイドからトップガイドまでは同じ径のガイドを使っています。1段目と2段目の大きさが極端に違い、違和感を感じるガイド選定です。1段目がもう少し小さく、2段目が少し大きめの方がラインを自然にガイドできると思います。また、並継に関してはしっくりできているので、安心して使うことができます。
 

ガイドはSiCリングにステンクロームメッキフレーム

 

2番目からトップガイドまで同じ径のガイド

  
この竿は穂先が2本付いています。どちらを使うかは人それぞれ好みがあると思いますが、私の場合は軟調の替穂先(先径1.8mm)の方が、竿全体のバランスがとれているように感じます。もともとバットと2番が細身でやわらかくできている竿ですので、鯉の引きを穂先に乗せてから次第にバットで受ける感覚にしたいなら替穂先がよいでしょう。先径2.5mmの穂先を使うと、2番竿にいきなり乗ってくる感触がありますが、穂先の強度の安心感は太い方がはるかにあります。替穂先の場合は、石鯛竿とは思えないほど超軟調になります。この竿で初めて鯉とやりとりした時は替穂先の柔らかさに驚いてしまい、一瞬折れるのではないかと思わず穂先を見上げたものでした。しかし鯉の引きが強くなるほどにバットで受ける感じになり、バットが弓なりになっていくのがわかります。下の写真の鯉はこの竿で上げましたが、全く問題なくやりとりすることができました。私は竿は短いほどに軟調子であるべきだと思っています。短竿で硬調子だと引きに対してストロークが稼げないために、ばらし易くなります。この竿はやりとりを十分楽しむことができる異色の石鯛竿です。通販でしか手に入りませんので、なかなか実物を手にして確認できないのが残念です。
 

元竿と2番竿の並継

 

軟調替穂先でこのサイズにも十分対応できる

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