<< PREV  |  MENU  |  NEXT >>
短竿談義 / 第1談話室:長竿指向の鯉竿に一石投入

ほとんどの釣り人は、竿に関してこだわりがあると思います。自分が本当に気に入った竿を手にした時の喜びは、言葉に尽くせません。日本人の特徴のひとつである繊細な感性は、あらゆる釣魚ごとに竿を生み出し、中にはヘラ竿などのようにあらゆるフィールド条件に適するように何種類もの長さ、調子を取りそろえているものもあります。さらには高価な和竿ともなると、芸術品のように装飾が施されているものもあります。

鯉竿について考えてみると、延べ竿ではヘラ竿の中の硬~超硬調子が鯉用と言う位置付けで古くから存在していましたが、ガイド竿に関しては残念ながら非常に選択肢が少ないと言わざるを得ません。2008年現在、鯉竿を発売している国内有名メーカーは5、6社程度だと思います。しかし、各社の商品ラインナップを見ると、ほとんどが5m~5.4mの長さの竿ばかりで、短かいものではダイワがベイトとスピニング仕様の4.5m、NISSINがスピニング仕様の4.5mを発売しているに過ぎません。

なぜ5mクラスの鯉竿が多いのか想像しますと、元々鯉竿というのがほとんど存在しなかった時代には、磯竿や石鯛竿が代用されているケースが多かったと思います。これらの竿は、足元を攻めることは少なく、ある程度距離のあるポイントを攻めるために5m以上の長さが必要になります。そんな背景から、後に鯉竿として発売された竿のほとんどが5m台になったのではないかと考えられます。

その一方で、3~4mの竿が鯉釣りに向いていると考えた方がおられます。皆様ご存知の小西茂木さんです。著書の中で、次のように述べています。

「釣り場の広い、せまいにかかわらず、岸や水中に、釣りの障害となるものがなければ、リールを使う限り約三メートル、なにか障害物がある場合でも、約四メートルでじゅうぶんである。」(野ゴイ釣り 小西茂木 西東社 26頁より)
 

miOの5.25m石鯛竿

 

ぼらひでさんの4m石鯛竿

   
私の場合、水郷釣行で使用する竿は5.25mの石鯛竿ですが、地元や荒川、隅田川では、最近4~4.1mの石鯛竿を使っています。もっと短い石鯛竿があれば、より望ましい場合もありますが、今のところ最も短い石鯛竿がこの長さになります。5mクラスの長い竿、4mクラスの短い竿それぞれ長所がありますので、以下に列記します。
 

5mクラスの竿の長所

1)魚の引きを吸収するストロークが長いため魚をバラシにくい。
2)手前に障害物がある場合かわしやすい。(水郷の護岸のような土手の上から餌交換する場合に仕掛けを回収しやすい。)
3)ベイトリールに限っては長い方が遠投しやすい場合が多い。(スピニングの場合は必ずしも当てはまらない。)
 

4mクラスの竿の長所

1)サイドスローのキャスティングがしやすい。(ゴカイ餌など投入する場合、餌落ちが少ないサイドスローにします。)
2)長竿よりも軽い力で鯉を寄せることができる。
3)頭上や背後に障害物がある場所でもキャスティングがしやすい。
4)鯉を近くまで寄せてタモ入れしやすい。(隅田川のテラスなどで特に便利。)
 
鯉釣りを始めた頃は、竿が長いほど大物用であるかのような勘違いをしたものでした。竿の長さはフィールドの条件、キャスティングの遠近などで選択すべきで、決して鯉の大小には関係ありません。むしろ短竿の方が相対的に扱い易いと思いますが、注意点としては短竿はラインにテンションがかかりやすく、ラインブレイクや口切れの原因となりがちですので、強引なやりとりをしないようにしなければなりません。

現在は長竿が主流のため改めて述べるまでもありませんので、次頁からは現在少数派の短竿を紹介していきたいと思います。

<< PREV  |  MENU  |  NEXT >>