このシリーズの最終回となりますが、今回は夕景を撮るときのポイントについてお話します。
私が釣り場にいて好んで撮影するシーンとしては、夕方の風景、未明の風景、星空の風景などがあります。誰しもこうしたシーンに身を置いたとき、自然の美しさに見とれてしまった経験があると思います。では、今回の主題である夕景撮影についてさっそくお話します。
1.夕景の主役は夕陽ではない
意外に思われるかもしれませんが、私の意識としては夕陽は主役ではありません。何が主役かというと、夕陽に照らされた周囲の風景が主役です。したがって、夕陽を構図に入れる場合、例えば夕陽に照らされた雲、湖面に長く尾をひいた反射光などが構図の主要スペースを大きく占めて、夕陽は上下左右いずれか寄ったところに配置します。こうした意図を持って夕景を撮ると、余程のことがない限り「日の丸」と呼ばれる、夕陽がど真ん中になった写真を撮ることはありません。
2.日没後の夕景を見逃すな
ここまでのお話をわかって頂けると、夕景のシャッターチャンスは日没後も続いていることが容易に想像がつきます。日没直後は、空の色が目まぐるしく変化することがあります。これは大気層への光の入射角が大きくなることで、透過してくる波長(つまり色)が敏感に変化するためです。輝度の高い太陽が構図に入っていないと、風景の微妙なコントラストを表現し易くなるため、魅力的な写真が出来上がります。
日没後に撮影した写真を2枚紹介します。最初の写真は、日没後に空の色が変化したときに撮影したものです。雲の色がが絵画的に表現されています。次の写真も日没直後の写真ですが、右下の方向から太陽光を受けた雲の微妙なコントラストが表現されています。カメラのCMOSセンサーの感度は日々向上していますので、こうした写真は、肉眼で見えるコントラストとはひと味違って写ることがしばしばあります。ちなみに、いずれの写真も画像処理をしていない生のデータです。
今回のお話を参考に、皆様もすばらしい夕景を撮影してください。
掲載日2014年9月15日