糸止めのウルシが完全に固まったら、次の工程に移ります。ここでは、リールシートの取り付けとニギリを作っていきます。
①リールシート取り付け
まず、リールシートの位置を決めます。和竿の世界では、リールシートは石突の先から、1尺3寸5分(約41cm)の位置にシートの中心が来るようにするのが標準とされています(石鯛竿)。しかしここでは、自分だけの竿を作るのですから、41cmという寸法を参考にして、自分のスタイルに合わせて決めていけば良いと思います。隅田川スペシャルⅠ・Ⅱは、使用する竿掛けの寸法に合わせて、概ね38cmの位置にシートの中心が来るようにセットしました。位置が決まりましたら、パイプシートを竿に通して、固定する位置でのシートと竿との隙間を確認します。口金の接着と同様に、この後、エポキシで接着する際に、あまり隙間が大きいと良い仕事が出来ません。隙間が大きすぎる場合は、糸巻きを行い調整をする必要があります。
調整が出来ましたら、シートを接着します。エポキシは、少し多めに竿側に塗ります。接着面の糸の間をしっかりと埋めながら糸目の凸凹が無くなるようにしっかりと塗っていきます。パイプシートを竿に通した際に、大量のエポキシがシートと竿の間からはみ出してくるくらいでOKだと思います。はみ出した部分は、即ふき取らなくてはなりません。硬化が始まると取り返しのつかない結果になってしまいます。
接着が終わった状態。 このままの状態で1日以上、エポキシが完全に固まるまで動かさずに待つ。
②ニギリ作製
ニギリは竿尻部分とリールシートの上部と2か所に作ります。 また、竿尻部分のニギリを作る際に一緒に、尻栓ゴムも取り付けます。本来は、木製の石突を付けますが、隅田川の釣りでは不要であり、テラスはコンクリート地にタイル張りになっている為、ゴム製のものがベストと思います。 ゴム製の尻栓は、釣り具屋さんで購入できます。もちろん「櫻井」でも用意出来ます。竿尻の太さに合わせて購入し、調整後接着します。
隅田川スペシャル1 (ニギリに熱収縮ゴムを使用)
さてニギリですが、太さは自分の好みで良いと思います。 あまり細過ぎると、実際に竿を持った時に持ち重りを感じる時があります。釣る相手にもよりますが、大物との駆け引きを想定すると、ある程度の太さと重さが必要になります。 ニギリは、糸を巻いて太さを出す方法と、三角形に切った紙を貼り重ねて、最後にヤスリで整える方法があります。その他に、今流行りのニギリ用の素材に竿を通して加工する方法もあります(隅田川スペシャル2はこの方法)。 隅田川スペシャル1は、糸巻き後、熱収縮ゴム(ミリオン・ラバーグリップ・スーパー)を使用しました。
隅田川スペシャル2 (ニギリ用素材を使用)
隅田川スペシャル1は糸巻き+ラバーグリップで仕上げましたが、実際に使ってみてもう少し太さと重さがほしいと感じたため、今回作製の隅田川スペシャル3には、糸巻きの代わりにビニールテープを用いて太さと重量の調整を行い、ラバーグリップで仕上げてみました。 (この方法は、竿作りとしては邪道かもしれませんが・・・)
隅田川スペシャル3のラバーグリップ
ニギリが完成したら、端の部分の処理を行います。隅田川スペシャル1・2では、胴塗りが終わった後に、籐を巻きで処理をしましたが、今回の3ではこの過程で籐巻きを施し、その後胴塗りを行うことで、塗りと籐が一体化した仕上げを目指していきます。
籐巻き(リールシート側とラバー側の2か所)