昨シーズン、長年愛用してきたタモの柄に思わぬトラブルが発生しました。タックルを撤収している最中、ふと気づくと口金の接合が緩んでいたのです。幸いにも釣行の終わり際だったため実害はありませんでしたが、もしランディングに使っていたら…と思うと、今でも冷や汗が出ます。
その後、壊れた柄は捨てずに保管しておき、「何か別の用途に使えるかもしれない」と考えていました。しかし最近になって「やはり直してみよう」と一念発起。修理に取りかかりました。今回は、その修理の過程を記録としてまとめてみました。同じような状況に遭遇された方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
状況確認
壊れた口金を写真に示します。口金には横穴があり、ピンが入っていたと思われます。口金の内径と柄の外径は接着した形跡がありました。さらに口金の外径には仕舞う時のゴムストッパーが付いていますが、部分的に剥がれています。柄の方は塗装が剥がれていて、口金の内側に付いて残っています。柄の横穴は若干いびつな穴になっていますが、そのまま使えそうです。
下仕事
口金周りの部品はなるべく再利用して安く修理することを考えて以下の下仕事をしました。
- 口金からゴムストッパーを剥がし、外したリング状のゴムを綺麗な形に切って整えます。
- 口金に残ったゴムの残骸をカッターで丁寧に削り取ります。
- 口金の内側に付着している接着剤や塗装をヤスリで丁寧に落とします。
- 柄の外周をヤスリで削り、剥がれやすい塗装がないようにします。無理に塗装を全部剥がすのは下地を痛めるのでやめました。
- 口金と柄をアルコール拭きで綺麗にクリーニング。
下仕事が終わった後のゴムリングと口金を写真に示します。

壊れた口金とタモの柄

下仕事後のゴムリングと口金
口金の接着
二液性のエポキシ接着剤を使います。20℃では10時間で実用強度に達するそうです。先ほどアルコールでクリーニングした柄に丁寧に接着剤を塗ります。塗りムラができるだけないようにした後に口金を捻りながらゆっくり差し込みます。差し込んだ後に口金と柄の横穴が合うように位置を合わせます。口金から溢れた接着剤は綺麗に拭き取った後ロッドスタンドに立てて翌日まで十分に硬化させます。

使用したエポキシ接着剤

できるだけ均一に接着剤を塗る
仕上げ作業
接着硬化が終わった翌日に、仕上げ作業を行います。はじめに熱収縮チューブとゴムリングを柄に通しておきます。理由はこの後につける割りピンよりも根本の方に固定するためです。次に横穴に割りピンを通します。割りピンの先端はラジオペンチで丁寧に曲げます。

あらかじめ熱収縮チューブとゴムリングを通す

割りピンを通して先を丁寧に曲げる
割りピンはステンレス製の2×25のサイズがちょうど合いました。割りピンの役割は、これで口金を固定するのではなく、万が一接着が剥がれたときに最悪でもタモが落ちないようにするための保険です。次にゴムリングを割りピンに突き当たるまで移動させ、その上に熱収縮チューブを被せます。写真のようにゴムリングのところが元竿のストッパーになります。

使用したステンレス製の割りピン

ゴムリングの太い部分がストッパー
修理完了
修理後のタモの柄を写真に示します。熱収縮チューブは長めに被せて玉網を着脱する時の握りとしました。
今回購入したのは接着剤と割りピン、精密ダイヤモンドヤスリ2本で、合計1,121円です。熱収縮チューブは釣り道具箱にあった端材を使いました。

修理完了しました
まとめ
鯉釣りを始めた頃は時々手作りの作業をしていましたが、長い間遠ざかっていました。今回取り上げたタモの柄のトラブル後に新品を購入してすでに釣行には支障ありませんが、あらためて修理作業をしてみて、久々に充実感に包まれました。ただし、この修理方法で大型のアオウオに対応できるかは私自身不安がありますが、よろしければ参考になさってください。