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釣りの研究室
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泡づけ

初版 2005.11.27

《要約》

  • 鯉はウキブクロを持ち、赤線組織から酸素を取り込み内部圧を維持する。
  • ウキブクロは前室と後室に分かれ、鯉は管を通じてガスを排出できる「有気管魚」である。
  • 興奮時に泡を出す「泡づけ」は、鯉が集まっている証拠で、釣りの好機。
  • 有気管魚でない魚は、赤線組織でガスの吸収と排出の両方を行い内圧を調整する。

魚には、ウキブクロを持つ種類と持たない種類がありますが、鯉はウキブクロを持っている魚です。このウキブクロは、「聴覚」のページでも触れたように、音波をキャッチする器官のひとつでもあります。その働きのためには、ウキブクロ内部の圧力を一定に保つ必要があります。
 
では、そのウキブクロの中のガスは、いったいどこから供給されるのでしょうか。下図にも示されているように、ウキブクロの頭側には「赤線組織」という器官がついていて、そこを流れる血液から主に酸素が供給されるしくみになっています。
 

 
鯉のウキブクロは、ひょうたんのような形をしており、中央のくびれを境に、頭側を「前室」、尾側を「後室」と呼びます。前室は赤線組織とつながっていて、ガスを取り込む役割を果たします。一方、後室はガスをためておく場所です。
 
さらに鯉の場合、このくびれの少し後室寄りの部分から、細い管が食道の方向へと伸びています。このような構造を持つ魚を「有気管魚」と呼びます。
 
ウキブクロの内圧が高くなりすぎると、鯉はまわりの筋肉を使ってガスをこの管から押し出し、食道を通って口から水中に吐き出します。このとき、水中にぽこぽこと泡が出る現象が起こります。これが、釣り人のあいだでよく知られている「泡づけ」です。したがって、この泡づけは、有気管魚だけに見られる現象なのです。
 

泡づけが教えてくれること

鯉がエサを見つけると、においや視覚の刺激で徐々に興奮し、赤線組織を通して前室にガスが吸収されます。その結果、ウキブクロの内圧が上がり、ガスが排出されて泡づけが起こるわけです。
鯉の泡は、ときにはピンポン玉くらいの大きさになることもあります。ぶっ込み釣りでは見えづらいのですが、ウキ釣りで述べ竿を使っていると、ウキのまわりで泡づけが活発に見られることがあります。これは、鯉が集まってきているサインであり、まさに釣りの絶好のチャンスです。
 

有気管魚ではない魚の場合

ちなみに、有気管魚ではない魚たちは、どうやってウキブクロの内圧を調節しているのでしょうか。
この場合、赤線組織がガスの供給と排出の両方を担っています。たとえばアジのように、タナ(泳ぐ深さ)が頻繁に変わる魚では、この機能が特によく発達しています。必要なときには血液からガスを取り込み、逆に排気が必要なときには血液にガスを放出することで、内部の圧力を調節しています。
 


参考文献
1)『釣りの科学』 森秀人 講談社