Laboratory

釣りの研究室
HOME | Lab | ABU | ブレーキの仕組み

ブレーキの仕組み

初版 2010.6.6

Ambassadeur 7000 には、2種類のブレーキ機構が搭載されています。それぞれのしくみと特徴について、順にご紹介しましょう。
 

Ambassadeur7000 2種類のブレーキ機構

 
 

遠心力ブレーキ(Centrifugal Brake)

4点式遠心力ブレーキ

ブレーキドラム

このブレーキは、Ambassadeur 7000 が登場した1972年、ABUが特許出願したもので、当時としては非常に画期的なものでした。構造はいたってシンプルで、しかもリール内部にコンパクトに収まっています。
 
スプールシャフトに取り付けられた「ブレーキブロックハブ」には、放射状に4本のピンが設けられており、それぞれにスライド可能なブレーキウエイトが装着されています。スプールが回転を始めると、これらのウエイトは遠心力によって外側へと広がろうとしますが、その動きを囲むように配置された「ブレーキドラム」の内壁によって制限されます。結果として、ウエイトとドラムの摩擦によってスプールの回転が抑えられるという仕組みです。
いわゆる「4点式遠心力ブレーキ」と呼ばれるものです。
 
遠心力ブレーキの特性と構造上の工夫
少し理屈っぽくなりますが、遠心力は回転速度(角速度)の二乗に比例します。つまり、回転が2倍になれば遠心力は4倍、したがってその力で生じる摩擦=ブレーキ力も4倍になるというわけです。この性質のおかげで、スプールが高速で回転するほど、より強く自動的にブレーキが効くというのが、このブレーキの優れた点です。
 
ただし、摩擦に頼った方式であるため、グリスなどの油分がウエイトに付着すると、摩擦が弱まり、ブレーキの効きが甘くなることがあります。たとえば、ギヤやベアリング部のグリスがスプールシャフトを伝って、ピンやウエイトに達してしまうと、滑りやすくなってしまいます。
 
これを防ぐために、ブレーキブロックハブはシリンダー状の構造となっており、その外周にピンが配置されています。こうすることで、シャフトからピンにグリスが伝わりにくくなる工夫が施されています。
 

メカニカルブレーキ(Mechanical Brake)

中央がレフトスプールキャップ

左から ベアリング/フェルトパッキン/ベースワッシャ

こちらは、スプールの左右にあるスプールキャップによって、シャフトを軸方向に締め付け、その摩擦によって回転を抑えるという方式です。
 
遠心力ブレーキのように自動でブレーキ力が変化するタイプではありませんが、左側のスプールキャップの締め具合によって、手動でブレーキ力を細かく調整できるという利点があります。
 
内部構造と調整のポイント
スプールキャップの内側には、数枚の真ちゅう製ベースワッシャが入っており、これがスプールシャフトの端と接触して摩擦を生み出します。接触面の圧力が高いため、ワッシャは摩耗しやすく、潤滑のために常にオイルを必要とします。
 
そのため、オイルを保持する「フェルトパッキン」が内蔵されており、これがベースワッシャとベアリングの両方に潤滑油を供給する役割を担っています。
 
調整時の注意点
キャスティングの際には、使うルアーの重さに合わせて、最小限のブレーキが効くように左側のスプールキャップで調整します。このとき、右側のスプールキャップは必ず締め切った状態で使うことが重要です。
 
右側が半締めになっていると、内部のオイルがにじみ出る恐れがあるほか、スプールの位置が右寄りにずれてしまい、正常な動作に支障をきたすことがあります。
 
一方、左側のスプールキャップは調整用として設計されていますので、半締めの状態での使用を前提とし、オイルが漏れないようOリング(図示省略)による密閉構造が採用されています。
 

まとめ

このように、Ambassadeur 7000 には2種類のブレーキが備わっており、それぞれが異なる役割を果たしています。しっかり理解して適切に調整すれば、より快適でトラブルの少ないキャスティングが楽しめるはずです。


 
関連記事遠心ブレーキの発明