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7500C3JSP中古品 (2024年)

初版 2024.5.26

はじめに

盟友の並継こぶちゃんより、「リールが巻けない!」という相談をいただきました。モデルは Ambassadeur 7500C3 JAPAN SPECIAL(JPS)。少し前に中古で購入し、釣り場でデビューさせたところ、ラインにテンションがかかると巻けなくなるという状態です。リールを預かり、帰宅後に詳しく点検することにしました。
 

不具合の調査

 

ABU Ambassadeur 7500C3 JPS

 
7500C3 JPSは、かつて鯉釣りの定番リールとして大変人気があったモデルです。現在でも時折、中古釣具店やネットで見かけることがあります。このリールは外観に傷もほとんどなく、とても美しい状態です。
 
まずは、不具合の現象をはっきりさせる作業に取り掛かります。こぶちゃんの話から、ドライブ系に問題があるのは間違いなさそうです。中でも可能性が高いのはドラグ系の不具合。
 
そこでドラグを強めに締め、ラインを手で強引に引っ張ってみると──あらら……ズルズルと出てきてしまいます。いくら締め込んでも結果は同じ。どうやらドラグワッシャーに問題があるようです。
 
分解前に、念のため現状のドラグ力を測定しておきます。数回計測したところ、2.1〜2.3キロ。ABUのリールは他社製に比べてドラグ力がやや控えめですが、それにしてもこの値は小さ過ぎます。メーカー仕様ではハイスピードモデルで最大6キロとなっているため、やはりワッシャーに異常があると考えられます。
 

分解と内部点検

 

ドラグワッシャーにグリスがたっぷり

 
ハンドルから順に分解を進めていくと、通常よりも多くのグリスが浸み出していることに気づきました。そして、いよいよドラグワッシャーを取り出してみると──グリスがたっぷり!これではドラグの摩擦力がほとんど効かないのも納得です。
 
ネジの外観などから、右サイドプレートは過去に何度か開けられている様子。おそらく前オーナーがグリスを塗ったものと思われます。それにしても、この状態では実釣に使うのは厳しかったのではないかと……(笑)。
 

ドライブギヤの表裏にグリスがたっぷり

 

ドライブ系全体に多量のグリス

 
さらにドライブギヤを取り外してみると、ギヤの裏や周辺にもグリスが盛り上がるほど入っていました。
 

クリーニングと再グリスアップ

ここから先は、通常のオーバーホール手順に従います。各パーツをパーツクリーナーで洗浄し、しっかりと乾燥させた後、必要な部分に適切な量のグリスとオイルを使用します。

  • ギヤやクラッチなどの摺動部にはグリス
  • ドラグワッシャーにはオイル

この使い分けが大切です。ドラグワッシャーは綿棒を使い、オイルを両面にごく薄く伸ばします。なお、金属製ワッシャー(フリクションワッシャー)にはオイルを塗りません。オイル過多になるのを避けるためです。
 

ドラグ力の再測定

組み立て後、ドラグ力を再び測定したところ、4.7〜5.3キロと、オーバーホール前の数値の倍以上に回復しました。スターホイールを目一杯締め込んでいるわけではありませんが、おそらく正常な範囲内でしょう。グリスアップの加減ひとつで、ここまでドラグ性能が変わることに改めて驚かされます。
 

まとめ

7000シリーズで、ここまでドラグ力が低下していたリールに出会ったのは初めてのことでした。まるで自転車のブレーキにオイルを塗ったような感覚です。
 
初めてグリスアップやオーバーホールに挑戦される方は、ぜひこの「ABU」の各ページをご覧になった上で作業されることをおすすめします。状態の良い名機を、ぜひ長く大切に使ってください。


 
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