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釣りの研究室
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新鋭振出石鯛

竿の外径とテーパー

初版 2020.9.27

フィールドへ出る前のひと仕事

実釣に出かける前にチェックです。我が家の“フィッシング・ラボ”(もちろん架空ですが)にて、新しく手に入れた新鋭振出石鯛と、長年愛用してきた振出小笠原525MHの外径を比較してみました。
 
計測にはノギスを使って竿の各段の外径を測定し、そこから石突(竿尻)までの距離はコンベックスで計測。これらのデータを基に、竿のテーパーに関するグラフを作成してみました。

テーパー率から見える調子の傾向

グラフ中の▲印は、それぞれの段におけるテーパー率(外径の減少率)を示しています。計算式は「(先径 − 根元径) ÷ 距離 × 100」。つまり、各段がどれだけの割合で細くなっているかを数値化したものです。
 
まず小笠原525MHを見てみると、#1および#2のテーパー率が特に大きいことが分かります。これは先端側の2段を急激に細くすることで、いわゆる“先調子”の性格を持たせている設計と考えられます。
 

小笠原525MHのカーブ

 
実際にこの竿で青魚を掛けたときの写真を見ていただくと、竿全体のしなり具合が一目瞭然です。竿の継ぎ目を赤い▼で示し、穂先側から順に#1~#5までの番号を付けました。ご覧のとおり、#1と#2が大きく曲がっており、#3以降は比較的ゆるやかなカーブ。小笠原が明確な先調子であることが、見た目にも分かる好例です。
 

新鋭振出石鯛の“美しい”テーパー

一方で、新鋭振出石鯛のテーパー率を見ると、実に滑らかで連続的な変化を見せています。特に注目したいのは#3の外径比較です。小笠原と根元の太さはほぼ同じながら、新鋭の方が先径がやや細くなっていることが分かりました。
 
この差と全体の長さの違いをあわせて考えると、新鋭は小笠原よりも手元寄りからゆったりとしたカーブを描く性格——つまり“胴調子寄り”のしなり方をする竿ではないかと推察できます。
 

曲がりの美学と、未知の反発力

もしこの想像が正しければ、手元にかかるモーメントは新鋭の方がやや小さくなるかもしれません。長時間のやり取りにおいては、こうした設計の違いが体への負担を左右する可能性もあります。
 
もっとも、テーパー率のデータから竿全体の反発力までは読み取れません。しなりが滑らかであっても、そこにどれだけの“戻りの強さ”があるかは実際に魚を掛けてみなければ分からない世界です。
 
このあたりは、やはり現場での感触に委ねるほかありません。理屈を超えた手応え——それもまた、釣りの大きな楽しみのひとつですね。