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鯉の寿命と年齢

初版 2005.11.27

《要約》

  • 鯉の寿命は一般的に20〜50年とされるが、文献には100年以上、最大で200年以上生きたとする例も。
  • 年齢の測定には主に「鱗」「背骨」「耳石」の年輪を数える方法があり、いずれも一定の年齢以上では判別が難しい。
  • 鱗の年輪は水温の変化で現れ、木の年輪に似ているが、成魚では模様が不鮮明になりやすい。
  • 年齢測定には専門的な知識や機器が必要で、釣り人にとっては魚へのダメージを避ける配慮のほうが大切。

日本各地には、いわゆる“巨鯉伝説”が残されています。「沼や川の主」「百年鯉」といった呼び名で語られることもあり、まさに長寿の象徴のような存在です。では実際、鯉はどれくらい生きるのでしょうか?
いくつかの文献から、鯉の寿命に関する記述を紹介してみます。
 

文献に見る鯉の寿命

参考文献1
「普通は20年くらいだが、70〜80年生きる鯉も珍しくなく、中には200年を超える個体もいるという。」
 
参考文献2
「“池の主”などと呼ばれるだけあって長寿である。学者の記録によれば、最長寿命は47年とのこと。」
 
参考文献3
「一般的な寿命は40〜50年。中には150年も生きたという話もある。」
 
• 参考文献4
「多くの魚は短命だが、鯉は人間並みに長生きする。小牧や祖山ダムの大物鯉は、数十年、場合によっては100年近く生きた個体だった。」
 
参考文献5
「通常は20年ほど。中には50年以上生き、80cm・15kgを超えるものも。記録では1.43m・45kgの個体もいる。」
 
参考文献6
「ベーコン卿は『鯉の寿命は10年そこそこ』と述べているが、パラティネイト地方では『鯉は100年以上生きる』という信仰もあると、ゲスナーが記している。」
 
参考文献7
「自然環境下で20年以上生きるのはまれだが、飼育下では50〜60年に達することもある。岐阜県の錦鯉に、鱗の年輪から210歳以上と判定された例もある。」
 
このように、文献によって寿命の記述はまちまちです。おおむね20〜50年が一般的とされながらも、100年を超えたという記録もちらほら。
とはいえ、私たち人間のように戸籍や医療記録があるわけではなく、これらはあくまで“伝承”や“推定”の域を出ないものがほとんどです。
 

鯉の年齢を知る方法

次に、鯉の年齢をどのように判断するのかをご紹介します。
 

1. 鱗の年輪を見る

もっともよく知られている方法が、鱗の縞模様(年輪)を数えるというものです。
鱗は人間の爪のように成長し、水温によってその成長スピードが変わります。夏は水温が高く成長が早く、冬は成長が遅いため、結果として成長の差が縞模様(年輪)となって現れるのです。この仕組みは、木の年輪とよく似ています。
も釣りの際に鯉の鱗を観察して年齢を推定しようとしたことがありますが、実際には明瞭に数えられるケースは少なく、特に10年以上になると縞模様が不明瞭になってしまいます。素人の私たちにとって有効なのは、生後数年までの若い鯉だけかもしれません。
ちなみに、参考文献7にある「210歳」という年輪判定については、正直なところ、その信憑性には疑問が残ります。
 

2. 背骨の年輪を数える

もう一つの方法は、背骨の断面に現れる年輪を数えるものです。これは文献にある図解からも知られている方法で、背骨をカットして内部の縞を観察します。
 

背骨の年輪

 
ただし、この方法も7〜8歳程度までしか判別が難しいとされ、それ以上の年齢になると年輪が重なって見分けがつかなくなります。
 

3. 耳石(じせき)を見る

魚の頭部には「耳石(オトリス)」と呼ばれる小さな石があります。これにも年輪があり、専門機器を使えば年齢を数えることができます。
 
ただし、どの方法も正確な判定には専門的な知識と設備が必要で、研究機関で行われるものです
年齢の測定方法をご紹介しましたが、私たち釣り人としては、鯉に余計なダメージを与えないことのほうが重要です。
これらの方法はあくまで「知識」として知っておくに留め、釣りの現場ではキャッチ&リリースや魚への優しさを大切にしたいものです。
 


参考文献
1)矢口高雄『釣りキチ三平の鯉&鮒フィッシング入門』講談社
2)末広恭雄『魚の博物事典』講談社
3)芳賀故城『コイの釣り方』金園社
4)小西茂木『詳しくわかる野ゴイ釣り』西東社
5)茨城新聞社『空から見た 北浦・霞ヶ浦の釣り』
6)アイザック・ウォルトン(訳:森秀人)『完訳 釣魚大全』角川書店
7)川那部浩哉・水野信彦『川と湖の魚①』保育社
8)末広恭雄『魚の生活』ベースボールマガジン社