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釣りの研究室
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レベルワインド

初版 2010.9.12

ラインを巻き取る際、スプールの幅いっぱいに均一に巻かれるように働くのが「レベルワインド」という機構です。外側から目にすることができる部品なので、その動きを観察しながら仕組みを理解しやすいのが特長です。今回は、ABUの代表的なモデル「Ambassadeur 7000」を例に、この機構について少し詳しくご紹介してみましょう。

《写真1》フレームとレベルワインド機構

《写真2》わずか6部品で構成されている

まず、リールのフレームとレベルワインド機構だけを取り出してみると、実にシンプルな構造であることに気づきます(写真1)。さらに分解してみたのが写真2で、フレームを除くと、わずか6点の部品から成り立っているのが分かります。

《写真3》パイロットガイドの先端(上側)部分がカム溝に入る

《写真4》ウォームシャフトの円柱カム溝

この中で、レベルワインドの往復運動を担っている主要なパーツが、「パイロットガイド」(写真3)と「ウォームシャフト」(写真4)です。
 

カム溝に沿って動くガイド機構

パイロットガイドの先端部(写真3の上部)は板状に薄く作られており、ウォームシャフトに刻まれたらせん状のカム溝に沿って左右に移動します。このカム溝は、レベルワインドをスプールの端から端まで往復させるためのもので、両端に達するとパイロットガイドが向きを変え、折り返して戻ってくるという仕組みです。
 

ハンドル回転とレベルワインドの動き

ギヤの歯数比などをもとに計算すると、ハンドルを1回転させると、スプールシャフトは約1.05回転します。スプールシャフトのカム溝は、10回転分でスプールの全幅をカバーするリード(傾き)になっています。つまりハンドルを10回転で、レベルワインドがちょうどスプール幅ぶん移動するというわけです。
 

機構の歴史とメカニズムの美しさ

レベルワインドの歴史は古く、ABU社が1941年に発売した最初のリール「Recordシリーズ」にもすでにこの機構が搭載されています。以来、基本原理はほとんど変わることなく、現在に至るまで受け継がれています。
 
分解した部品を一つひとつ眺めてみると、まるで時計のムーブメントのような緻密さがあり、長年にわたって熟成されたメカニズムの美しさを感じずにはいられません。
 

手入れの重要性

ただし、レベルワインドは可動部や摩擦面が多く、またカム溝が外部に露出しているため、ホコリやゴミの侵入には注意が必要です。特にオイル切れを放置すると動きが渋くなることもありますので、定期的な清掃と注油は欠かせません。
 
長年リールと付き合ってきた者として、このようなクラシカルな機構の良さを再認識するひとときは、実に楽しいものです。これからも手入れを欠かさず、大切に使っていきたいと思います。