<< PREV  |  MENU  |  NEXT >>
第9章 和竿 隅田川スペシャル4(SS4)

  素 材 : ソリッド(穂先)・布袋竹(胴)・根掘り淡竹(握り)
  長 さ : 7尺(2本印籠継ぎ)
  調 子 : 6:4
 
 娘のサキと竹竿の整理をしている時、十年程前にカワハギ竿として組んでおいた素材が出て来た。肉厚で適度なテーパーのついた、当時ではお気に入りの布袋竹の2本継ぎで、穂先にはクジラを合わせたものだ。竹質が良いため鯉釣り竿にならないかと考えた。試しに穂先をクジラからソリッドに変えてみたら、SS3と同じような調子が出ることがわかった。「これでSS4作っちゃおうか」と、半分冗談で竹製の鯉竿を作ることになった。SS1の時と同じような軽い乗りからだ。ひとつだけ不安な事は、元々カワハギ竿であること。継ぎ部分の印籠芯の補強が弱いのでは・・・という不安がある。石鯛竿の印籠芯には、鉄芯を入れて補強するが、この竿には、グラス素材を3層位に重ねて芯として補強している。魚を掛けた時に耐えられるか。まあ冗談半分なので、あまり気にせず作成開始となった。
 

和竿 隅田川スペシャル4

  
 SS3と同様に、先ずは口巻きの補強。絹糸で継ぎ部分を巻き、漆で固める。工程は、総巻きにしない分、こちらの方が楽だ。次に胴塗り。今回は濃い色を出したかったので、「透き」を7~8回筆を使って塗った。
 
 握り部分と口まき部分の装飾に変化が欲しかったので何かいい方法はないかと考えていたら、鮫皮(エイ皮)の研ぎ出しを思い出した。これは、日本刀の鞘などに用いられる方法で、ボツボツのイボを平らに削ることで表れるその不規則なドット柄に味があり、釣竿にどうかは疑問ではあったが、これもまたジョークでやってみた。分かり易く言うと、高級なわさびおろし機に使われている鮫皮。触るとイボイボがいっぱい付いているのが分かる。それをヤスリで平らに削る。「鮫皮」と言っているが実は「エイ皮」で、東急ハンズで1匹分を購入。
 
 口巻き部分は、装飾の前に強度が必要なので、皮もただ巻くだけではなく、あえて20mm程の帯状に切り、それを螺旋状に伸ばしながらきつく巻き、強度を追求した。握り部分は、単なる装飾になるので、長方形に切り出した皮を巻いただけである。
 
 接着剤でしっかりと固めた後、イボイボの間に漆を塗り固める。その後、研ぎ出しになるが、そのイボの硬いこと・・・ふだん使っているサンドペーパーでは刃が立たず、金属用のサンドペーパーを使うがまだだめ。結局は、金属のヤスリでガリガリと削りだす始末。でも硬い。平らに削るのに何日ヤスリを掛けたか・・・1日2時間くらいの作業だったが、鮫皮と一週間以上戦っていたように思う。
 
 予想以上に綺麗に出来上がったので、皮を巻いた両サイドに籐を巻いて仕上げようとした。しかし竹が太いので、高価な籐が多く必要になってしまう。結局断念して、皮ひもを使ってみることにした。皮ひもなんて和竿には到底使われない物だが、これも半分ジョーク。 太い物を握りに。これは装飾よりも滑り止め効果を狙ったもの。口まき部分には、細い皮ひもを用いてみたら、出来上がりは籐と同じような感じに仕上がった。皮ひもにも漆を塗り(塗るというよりは滲みこますと言った方が正しい)、しっかりと固め、塗りの工程は終了。
 

鮫皮(エイ皮)の研ぎ出し

  
 次に、リールシートとガイド付けだが、石鯛用のリールシート(オクトパスシート)がなかなか売ってない。インターネットで製造元を探し、ガイドと一緒に購入。多少高額ではあったが、しっかりとした作りで、信頼して使えるもので一安心。特にガイドは、出来る限り性能の良い物(摩擦の少ない素材の物)を使いたい。そこをケチったばかりに、大物とのやりとり最中にラインブレイクでは悔やみきれない。工程は、SS3と同様だが、ここまで来ると完成を焦り仕事がザツになってしまうのが私の悪いクセ。今回は、SS4デビューまで時間が無かったので、悪いクセで焦ったのではないが、時間に追われ急ぎ仕事になった。結果、やっぱりザツになったかな?
 

石鯛用のリールシート

  
 漆を十分に乾燥させ、その後椿油で仕上げを行った。油が不足すると竹が割れる恐れがあるので、注意が必要である。
 
 2012年1月9日SS4デビュー。オモリはいつもと変わらず35号。先ずはオーバーヘッドで遠投してみる。思っていたよりも先調子気味だったが、とても投げやすい。次に、ゴカイを付けて投げるように、サイドスローで投げてみる。非常に投げやすく、リリースから着水までのコントロールが非常にしやすい竿に仕上げっている。
 
 最初にSS4にアタリが来たがフックせずにスッポヌケ。2回目のアタリで完全にフック。当初の不安だった継ぎの部分(印籠芯)の強度を心配しながら、テンションを掛けていく。我ながら良い調子に仕上がっていると満足しながらやりとりをする。魚が小さいせいかちょっと物足りなかったが、無事に取り込み成功。取り込み時の竿の立て過ぎにも注意を払うなど、グラス竿に比べてやはり取扱に神経を使った。
 
 まあ、道楽な暇つぶし・・・ジョークで作った竿。取扱にも注意が必要な厄介な竿だけど、大物が掛かる日を楽しみに、これから冬の隅田川で大切に使って行きたい。
 
~並継こぶ~

<< PREV  |  MENU  |  NEXT >>