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メカニズム / ブレーキの仕組み

Ambassadeur7000には2種類のブレーキが搭載されています。以下、順に解説します。
 

 

 

遠心力ブレーキ(Centrifugal Brake)

Ambassadeur7000が発売された1972年にABUが特許出願した遠心力ブレーキです。原理は非常に単純で、リールにコンパクトに実装されています。スプールシャフトに固定されたブレーキブロックハブに放射状に4本のピンがあります。ピンにはそれぞれスライド自在なブレーキウエイトがはめ込まれています。スプールが回転すると、ブレーキウエイトは遠心力により外側に広がろうとしますが、その周囲を取り囲むように配置されたブレーキドラムの内壁によりブレーキウエイトは規制されます。結果的に、ブレーキウエイトとブレーキドラムの摩擦力によってスプールにブレーキがかかります。

4点式遠心力ブレーキ

ブレーキドラム

もう少し詳しくお話すると、遠心力は回転速度(角速度)の二乗に比例します。回転速度が2倍になると遠心力は4倍になりますので、遠心力と動摩擦係数の積で決まる摩擦力(ブレーキ力)も4倍になります。したがって、遠心力ブレーキの優れている点は、回転速度が大きくなるほどに二次関数でブレーキ力が増大することです。
 
弱点は、摩擦力に依存したブレーキですので、ブレーキウエイトとブレーキドラムの動摩擦係数が小さくなるとブレーキ力が弱くなってしまいます。たとえば、ギヤあるいはベアリング部のグリスがスプールシャフトを伝わってブレーキピン、そしてブレーキウエイトに付着してしまうと、ブレーキドラムに対して滑りやすくなってしまいます。これを防止する目的で、ブレーキブロックハブがシリンダー状になっていて、その外側にピンを配置することで、シャフトからピンにグリスが伝わっていくことを防止する構造にしています。
 

メカニカルブレーキ(Mechanical Brake)

左右のスプールキャップによってスプールシャフトが軸方向に締め込まれ、その摩擦力によってスプール回転にブレーキをかける方式です。遠心力ブレーキはブレーキ力を容易に変更できないのに対し、このメカニカルブレーキは左側のスプールキャップの締め加減によってブレーキ力を変えることができます。
 
スプールキャップの内側には複数枚の真ちゅう製のベースワッシャがあり、これがスプールシャフトの端部に接触して摩擦力を発生します。接触面圧が高いためベースワッシャは摩耗しやすく、常にオイルを供給されていなければなりません。そのためにオイルを浸みこませるためのフェルトパッキンが入っています。これはベースワッシャとベアリング両方に給油する役目を果たしています。

中央がレフトスプールキャップ

左からベアリング/フェルトパッキン/ベースワッシャ

キャスティングする重さに応じて、バックラッシュしにくい最小限のブレーキ力を発生させるように調整します。尚、右側のスプールキャップは締め切り状態にし、左側のスプールキャップだけで調整する点に注意してください。もし右側のスプールキャップを締め切りではなく半締めにして使うと、内部のオイルが浸み出してくる恐れがあります。さらにスプールの位置が正規の位置よりも右よりにずれてしまいます。左側のスプールキャップは調整して半締め状態で使用することを前提にしていますので、オイルが浸み出しにくいように、Oリング(上図や写真には示していません)を使ってシールしています。

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